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泉大津市 若手職員を派遣

 泉大津市は、ベトナム南部の大都市・ホーチミンに近いバリア=ブンタウ省(県)の省庁に若手の市職員1人を今月から1年間、派遣している。現地で日本企業の誘致などに関する業務にあたり、ベトナムの経済制度などを学ぶ。泉大津市は人的交流を足場にして、いずれは本格的な経済交流に発展させたい考えだ。

 

ベトナムと商縁を

規模の大きい官公庁が海外に設けた現地事務所に職員を滞在させる例は多くあるが、人口約75000人と比較的小規模な自治体から、相手先の行政機関に職員を派遣するのは珍しい。その狙いを南出賢一市長(37)は「小さな自治体でも今は国際的に羽ばたける時代。まず職員派遣で信頼を深め、今後は泉大津側でもベトナムの人を受け入れたい。泉大津が国際的な人材育成の拠点になれば素晴らしい」と話す。

派遣されるのは、入庁4年目で、地域経済課に籍を置く宮下朝行さん(28)。学生の頃、ニュージーランドに英語の語学留学をした経験があり、入庁以来3年間、同課で市内の商工振興などを担当。201516年に一度ずつ、工業団地の視察などでアジアでも特に経済発展の著しいベトナムを訪れた経験がある。派遣前の3月、取材に対し、「市の業務を1年間離れることになるので、現地で学んだ成果を帰国後、しっかり生かせるようにしたい」と意気込みを語った。

堺泉北港に面した泉大津市は、地場産業の毛織物や、中古車の海外輸出が盛ん。こうした特性から、同市は海外の港湾都市と交流する機会に恵まれている。

なかでもバリア=ブンタウ省と同市は、1411月に経済協力の協定を結び、1611月には互いの人材派遣をテーマにした協定も締結し、交流を深める下地ができていた。

今回、同市は職員のバリア=ブンタウ省派遣を決め、庁内公募の結果、小論文審査などを経て宮下さんが選ばれた。

バリア=ブンタウ省 毛織物輸出見据え

バリア=ブンタウ省はホーチミンから来るまで約2時間の場所で、人口は約100万人。マリンレジャーの観光客でにぎわい、工業団地の建設も進み、ベトナム経済を牽引する地域の一つとされる。

同省は、日本からの企業誘致も積極的に進めており、庁内に「ジャパン・デスク」という名の部署をもつ。宮下さんはバリア=ブンタウ省の中心都市・バリア市のオフィスでベトナム人職員らと働く。

泉大津市は国内で有数の毛織物の生産地だ。近年、アジアでは富裕層向けのホテルの建設が相次ぎ、亜熱帯の南国でもホテルは冷房が利き、今後、毛布などの需要増が見込まれるという。市は将来、アジア各地に「メイド・イン・イズミオオツ」の毛織物を普及させる夢を描いている。

「一人でも多くの人と触れ合いたい。自分という人間をよく分かってもらうことが交流では大切だと思うので、誠実に向き合っていきたい」とやる気をみなぎらせ、宮下さんはベトナムに出発した。